手首の関節痛:腱鞘炎とキーンベック病の違いは?治療法についても

関節
手首が痛い場合には、腱鞘炎やキーンベック病、偽痛風や関節リウマチなどが疑われます。それぞれの原因を確認して、治療を行う必要があります。原因が分からないままに治療を受けていると、完治まで時間がかかることもありますので、痛みの原因を良く知ったうえで、適切な治療を受けましょう。

手首の痛みは腱鞘炎の可能性あり

手首に起こる腱鞘炎は「ドゥ・ケルバン腱鞘炎」の場合があります。これは「母指を外側に開く長母指外転筋」と「短母指伸筋」という2つの筋肉の腱が通る「腱鞘」に摩擦が起きることで発症します。手や指を酷使している職業の場合(ピアニストや美容師など)、パソコンを使う仕事などをしている場合にみられる症状です。

また運動不足であることや筋力に対して過度の負荷がかかっている場合などにも発症の原因となります。整形外科では、痛みに対して、関節内の注射や消炎鎮痛剤の処方、温熱治療やシップなどの治療を行うことが一般的です。

ただ、消炎鎮痛剤や関節内の注射の場合でも痛みがぶり返すということも多く、運動療法の場合においては、効果が出るまでに時間がかかり、効果が出ないということにもなります。手首の痛みの原因というのは、血液やリンパ液の滞りによって、筋肉がこわばっているためだと言われています。硬くなった筋肉が骨に張り付いて、その先につながっている筋肉や筋が引っ張られて、痛みが起こると言われています。

なにか炎症を起こして腫れているために痛いという感じではない場合もあります。慢性的な痛みを持つ患者さんと診ると、熱を持っていたり、赤く腫れていたりということはあまりありません。痛みの原因が炎症でないために、消炎鎮痛剤を使っても治らないといった事態になります。

手首の痛みを緩和するためには、手首につながっている筋肉である大胸筋という筋肉をほぐすことでも効果を発揮します。固くなった大胸筋をほぐすことでその先につながっている手首の筋肉や腱もきちんと伸びるようになって痛みが緩和されることになります。大胸筋のこわばりをなくすことが手首の痛みの緩和にもつながることになります。固くなった筋肉をほぐすことで、関節にかかる圧を軽減させることで、軟骨が再生したりして、痛みが良くなるいった場合もあります。

手首の痛みはキーンベック病の可能性も

キーンベック病とは、手首の骨の一つである「月状骨」とよばれる骨がつぶれてしまう病気を指します。月状骨の血流が阻害されることで起こる病気です。主な原因は手首の痛みであり、手首をよく使う職業の方に多く見られる症状です。保存療法で手首を酷使しないようにしつつ、経過に応じては手術療法がとられることもあります。手首を構成する骨のひとつひとつは小さいもので、全体としては8個の骨が存在しています。

月状骨もその一つで、月状骨は手首の中心部に位置している骨であり、手首の運動に重要な役割を持っています。月状骨は血流が悪い環境にあるために、何かのきっかけで血流障害に陥ることも多いです。キーンベック病はこの月状骨の血流の悪化が原因と考えられています。特に、美容師やピアニストなどの手首を酷使する仕事をしている若い男性にみられます。また、若い男性だけでなく、女性や高齢者にも発生する疾患です。キーンベック病になる原因としては2018年現在ではまだわかっていません。キーンベック病は月状骨が変形して骨がつぶされたり、骨が柔らかくなったり、位置がずれたりします。

こういった原因から、手首や動かしにくなることや手首の腫れや痛み、握力の低下などを自覚することが多いです。手首を多く使っていることや、手首の外傷をきっかけに発症するので、酷使する利き手や、怪我をした手首に発症します。キーンベック病はゆっくりと進行し、骨の変化も数か月の時間をかけて進行していきます。そのために初期の段階でレントゲンを撮影しても、明らかな病変は認められないことも多いですが、MRIなどを使って検査すると血流障害などが認められる場合も多くなっています。

病気が進行すると、レントゲンにも変化が見えます。全体的に骨が通常よりも白く撮影されます。月状骨が硬くなっていることを見て取れるようになります。骨が硬くなり手首が動かしにくいという症状が出てきます。さらに症状が進むと、月状骨が崩れて、いくつかの破片が見つかる場合があります。これは画像検査でも確認できます。この時期になってくると、正常な手首運動ができなくなります。痛みを強く感じたり、握力がなくなったと感じることもあるでしょう。もう一段階病状が進行すると、月状骨だけでなく、月状骨周辺の骨にも影響が出始めて、関節炎に進行する場合も多いので注意が必要です。

手首の関節痛の治療は、薬物療法や外科手術、リハビリなどの治療

痛みを和らげる薬としては、炎症を軽減するために、非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAID)を使用します。痛みには、ステロイドホルモンを腱鞘に注射します。腱鞘への注射は多用すると骨や関節が衰えることにつながり、関節の破壊につながることもあるので、注射を受ける場合には、医師の指示に従う必要が出てきます。慢性的な痛みがある場合には、温熱療法が有効であるとされています。

病院で受ける温熱療法に加えて、湯船にゆっくりと浸かる方法もいいでしょう。他にも、手首を過剰動かすのを保護することや、関節の変形の進行抑えて、痛みを抑えるために装具を装着します。また、関節の可動域訓練によって、1日1回は手首を動かすように努め、関節が硬くなって動きにくくなるのを避けるようにトレーニングを行います。関節痛によって手首を動かすことが億劫になると、関節が硬くなって動きにくくなってしまいます。手術療法には、人口関節置換術と滑膜切除術があります。

リウマチによって関節炎が長期間になると、関節の膜が腫れてしまい、いつまでたっても、関節炎が改善しないことから、この厚くなった膜を切除することが必要になります。手や膝の関節に適用することの多い手術です。人工関節置換術は関節リウマチが進行することで関節の破壊が進む場合に検討される方法です。ここまで進行すると激しい痛みが起こりますが、薬で対応できないので、人工関節に置き換える手術が必要になります。

手首に痛みを感じたら、診察を受けて、保護療法を

手首に痛みを感じる場合には、使いすぎている場合には腱鞘炎などの可能性も出てきます。腱鞘炎の場合には保護療法で、患部を酷使しないようにしつつ、シップを貼って対応をします。また、ステロイド剤などの注射を行って痛みを止めます。

またサポーターなどを付けて過度に動かさないように注意して動かしていくようにします。手首の腱鞘炎には、大胸筋をほぐして、筋肉のこわばりを改善することでも、良くなる可能性もあります。炎症を起こしている場合には、消炎鎮痛剤も効果的ですが、慢性的な痛みなどによる場合には腫れていない場合などもあり、薬が効くのかは分からないときもあります。

キーンベック病の場合には、月状骨の破壊が原因になっていますので、どの病気であるのかをはっきりさせるために、病院ではしっかり検査をして、原因を突き止める必要があります。早めの受診で、ひどくならないうちに対応していきましょう。レントゲンの他にMRIなども取ってみると原因が突き止められる可能性も高いです。